| 学校帰りにサトルくんと会うことになった。
待ち合わせは港の公園。
お互いの帰り道にちょうど良いトコロが、港の公園だった。学校は違うし家も反対方向だから、なかなか会えないけど、こうやってみんなの知らないトコロで待ち合わせて会うのって、すごくドキドキして嬉しい。
公園に着いたら、彼はもうベンチに座って待ってくれていた。
遠くから眺める彼は、とてもカッコよかった。
もちろん、近づいてもカッコいい。
私は、「遅くなってごめんね」と言いながら彼の横に座った。彼の優しい笑顔が眩しかった。
私達は、毎日電話で話しているのに、それでもまだ足りないくらいいろんな話をした。
この日のサトルくんは、この先の自分の進路についても話してくれた。
彼は、東京の大学に進学したいらしい。
しかも、二流でも三流でもいいから、推薦でいけるトコロに早く決めたい…と言っていた。
私は、もしも行けるなら有名な大学の方がいいのにな…と思ったけど、黙って彼の話を聞いていた。
だって、私も卒業後は東京の大学へ進学したいと考えていたからだ。
うまくいけば、卒業後も二人は離れ離れにならなくてもすむということだ。
未来は明るい。
神様は私達を応援してくれてるんだな…と感動した。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
別れ際に、
「今週の土曜にサッカーの試合があるんだ」
とサトルくんが言い始めた。
「知ってるよ。でも、その日は応援団の練習があって見に行けないの。ごめんね」
と私は答えた。それに、違う学校の生徒が応援に行くのは勇気がいる。
「うん、わかってる。あの〜」
なんだか言いにくそうだった。
「なぁに?」
「もし、その試合で勝ったら、って言うか、僕がシュートを決められたら、チューしてくれる?」
私はドキッとした。
恥ずかしくて、「え〜っ」としか答えられなかった。
きっとサトルくんは、勇気を出して言ってくれたんだと思う。私のことを、いつもすごく大切に扱ってくれていたから。
でも私は、恥ずかしくて、『いいよ』の一言がどうしても言えなかった。
ココロの中では『いいよ』って言ってたのに…
私はそういう点では、とても奥手なんだ。
もう少し積極的になりたいと思いながら、どうしても恥ずかしくてできない。
サトルくんは、私がキスを拒否したと思ったらしく、とても悲しそうな顔をした。
だけど私にはどうすることもできなかった。
サトルくんの方から、自然と私の背中を押してくれたらいいのに…と思った。
だって、そういうのって、その時の雰囲気でなんとなくするものなんじゃないの?
私って、プライドが高いんだろうか。
こんな時、他の女のコはどうしてるんだろうか。
どうしても、男のコにとってかわいい女のコになりきれない私がいた。
こんなに好きなのに…
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